センター長ごあいさつ

　こんにちは。センター長の伊藤です。

　人は、自分の感情や行動を意識してコントロールしていると考えているかもしれませんが、私が専攻している深層心理学の観点からすると、そうではありません。深層心理学では、人が自分でも気づくことができない深層心理の働きを重視します。人は、自分でも気づかないうちに自分の深層心理を通じて自分の行動を決定し、深層心理を通じて感情が動かされると考えます。

　消費者の消費行動、商品に対するイメージや感情も、深層心理によって動かされる場合が多いと私は考えています。ペットボトルのあるお茶を、我々はほとんど何も考えずに選択しますが、その背景に自分でも気づいていない深層心理の要因が作用していると考えます。青木（1995）も，消費者は合理的・現実的に商品を選んでいる訳ではなく，消費者自身も自覚していない動機を満足させるために商品を購入していると述べ，消費行動は深層心理との関係が深いことを示唆しています。消費者は深層心理に各々の商品に自らを投影したり，隠された欲望の代理満足としたり、自己演出に欠かせない社会的地位や役割を表すものとして商品を選択しています。商品の購入に際して、なぜこれを買ったのかと問われて十分に応えられる人は多くありません。重要なのは、商品のイメージによって，商品と自分とを照らし合わせた結果浮かび上がってくる深層心理のストーリーなのです。

以上のように、消費行動が単なる物理的な消費だけではなく，深層心理やイメージの作用に大きな影響を受けている以上、何故ものを買ったのかという理由の背景に隠れている深層心理の力を探ることは，商品のマーケティング戦略を考えていくうえで重要になってくると考えらます。そのような消費者の消費行動の際に働いている深層心理のありようを、私自身の深層心理の研究によって裏付けられた知見と研究を活かしてマーケティングに応用するのが、当センターの目標とするところです。

　私は消費者の深層心理を読み解く独自のノウハウを持っており、それは神戸大学のノウハウ（神戸大学ノウハウ番号 KN21-004）としても認められています。消費者の深層心理を探求して、今までとは違った視点からマーケティング戦略を立て、是非御社のお役に立てればと思います。

このデジタル、ビッグデータ重視の時代に、当社は敢えてじっくりと人と対話することを目指します。数字ばかりを追いかけるのではなく、データ、データに追い詰められるのではなく、スピーディー、安さ、早さとは、真逆な路線を目指します。消費者のこころを理解し、そこにアプローチするには、深い人間理解が必要ではないでしょうか。これでいけるという納得感を作り出すのは数字ではなく、深い人の心のインサイトです。しかし、それには時間がかかります。語れない人の中に人の本音があります。当社は、色々な方からのお話をじっくり聴く時間を大切にして、深い消費者に関するインサイトを見出して行きたいと思っています。

ご一緒に消費者の深層心理を探っていきましょう！